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  • 執筆者の写真山口明男

「理財論」山田方谷先生から学ぶ、現代にも生かせる利益還元の7つのポイント

経営コンサルタントの山口明男です


6月1日税理士法人「久遠」様の創業39周年記念特別講演会で、栃木県足利市から福田茂夫先生がお越しになり、「経営に生かす 山田方谷」というお話を聞かせていただきました。



講師の福田先生は1981年(昭和56年)、私が1,350万円を投じてオリベッティの経営計画システムを導入した時からのお付き合いです。足利市・浅沼会計事務所の経営計画作成担当者でした。


当時、そのシステムで苦労した仲間でお互いに勉強し、良いお付き合いをさせていただいていました。今回、30年以上お会いしていなかった福田先生との再会により、当時の思い出が見事に蘇りました。


今回の講演内容は我が岡山県の山田方谷先生の「理財論」から、現在の経営に生かすお話を具体的に教えていただきました。今回はそのことをお伝えしていきます。


山田方谷先生は、上杉鷹山をしのぐ改革者といわれています。上杉鷹山は第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが「最も尊敬する日本人」と発言して一躍有名になりましたが、財政破綻を救った実積において、山田方谷先生は上杉鷹山をしのいでいるようです。


当時の備中松山藩(現在の岡山県高梁市)は10万両(現在の金額に換算すると約600億円)の借金を抱えていました。ところがそれをわずか8年で負債を返済し、さらに10万両の蓄えを残した、破綻しかけた国家経済を滅亡の淵から救い出した改革者なのです。


その山田方谷先生の財政改革のエキスを現在の経営に生かす具体策は次の7つのポイントです。


1.藩の財政状況の詳細な調査に着手


  • 経営に生かす、正しい月次決算書を作ること

  • 税務署に提出するための年一決算でないこと

  • 月次決算書を作る準備で大切なことは書類の整理整頓。現金、預金データを迅速に入力すること

   

経営の数字は毎月早めにチェックすることです。決算終了時に見る決算書は死亡診断書ですから。月次決算書が健康診断書です。


経理データ入力もまとめてすることなく、早めにエクセルで入力すれば簡単に処理ができ、翌月初めに月次決算書ができあがります。


2.藩主帰国と共に、方谷より、数字の説明を受け、現状を直視する。藩政改革の大号令が発令される


  • 毎月、月次決算書を活用し、大局的に現状を直視し、経営状態をつかむこと

  • 問題点に氣づく→問題点とはどの勘定科目を増やすか減らすのかに氣づくこと

  • 社長と幹部とが危機感と方向性を共有化すること


経営をするうえでは、良い意味で常に、問題意識、危機意識を持つことが必要です。


まずは楽観的に構想を描き、悲観的に計画し、楽観的に行動することが大切です。私は心配性ですが、変な心配はせず、計画したことをできるように信じて実践します。


3.倹約令を発布。藩主の俸禄を減じるに先立ち、自らの俸禄を大幅に削減


  • 必要経費と冗費を分けること。今も必要な経費なのか? みみっちい経費から削減すべし

  • 給与削減は役員報酬から減額すること

  • 損益計算書の改善ステップは、経費の見直し→売上原価→売上


経費科目を見ていて、雑費が多い会社を見受けますが、適正な科目で処理しましょう。


各科目の内容を正確に見て無駄を見つけ、それを削減することです。売上を増やすために使うのが経費です。売上増加に効果があるものは使い、ないものは節約しましょう。

 

4. 債権者である大阪の両替商(銀主)に、藩の現状を包み隠さず説明する。各銀主に財政再建計画書を渡す


  • 窮地に立った時の対処は「誠の一字を腹中におさめ、正直かつ身を捨てて率先垂範の行動」すること

  • 誠意と度胸、そして経営計画書を作ること

  • ワンシート経営方針書、月次利益計画書、行動計画書を作ること


経営計画書作成時のポイントは月次の経費、売上の数字を明確にすることです。


それには借入金返済、設備投資などで年間に必要な利益を明確にし、逆算で必要売上高を決めます。計画書を金融機関に説明しておくことも効果があります。


5.藩札整理を始める。藩札を貨幣に交換する。藩札の信用回復を重視する


  • 歴史に学び、実践すること

  • 覚悟を決めているか? その決断をしなくてはならない時が来ているのかを考える

  • いったん立ち止まり足場を固めて振り返ること。その時間を創ること


経営で窮地に立たされることがありますが、その時こそ学びの時です。


成功された経営者は皆様辛苦を乗り越えておられます。その時こそ山田方谷先生を学ぶチャンスです。「理財論」を学び良いところを取り入れ、会社を良くするよう努力しましょう。


6.産業振興を図る。備中松山藩ならではの特産品を扱う。売上は創る


  • ひとり二役体制→新しい仕事を与えること

  • 新規事業へ進出する定石→飛び石を打つな、時流をつかめ

  • 開発→製造→流通→販売→保守 この流れを自社でできる体制を作ること


経営計画で計画通り100%近くいくのは経費です。売上はなかなか計画通り行きません。


売上は、お客様ごと、担当者ごと、商品ごとなど詳細な計画が必要です。新店舗、新商品、新規お客様開拓の行動計画を作成することが大切です。


7.撫育(愛し養う)の急務を上申において「藩主の天職は、藩士並びに百姓・町人たちを撫育することにあります

   

  • 利益の出る盤石な体制を作り上げたあとには利益は還元すること

  • 還元は近くから→社員→お客様→地域→国→世界

  • 社員の喜びが創れなければ、お客様の喜びは創れない→企業の目的は教育


企業の三大目的は①社会公共性、②収益性、③教育性です。


今の時代、最も大事にしないといけないのが③の教育性のようです。誰かに喜ばれる社員育成が企業の目的です。撫育、良い言葉ですね。常に気を配り、大切に育てること。愛し養うことが重要です。


経営の原点に戻るべし

 

幕末期にはすでに、現代に通じる財政改革の基盤ができあがっていたことにあなたはどう感じたでしょうか?


シンプルにお話しすると、いつも私が申しております「月次決算書を月初の早い時期に作成し、売上と経費を正しく把握し、次月の経営に活かす。そして愚直にPDCAを繰り返す」これに尽きます。


経営に近道はありません。改めて、我が身を振り返ってみてくださいね。


コロナ禍の3年が明け、これからその3年間を取り戻す時ですが、コロナ前には戻らないといわれています。


原材料の高騰、光熱費はじめ経費の増加は確実で、経営の厳しさは増すばかり。今こそ、もう一度原点に戻り、勉強して利益還元の出来る経営を実践しましょう。


そのお手本として、我が岡山県の山田方谷先生による『財政破綻を救う山田方谷[理財論]』『運命をひらく山田方谷の言葉50』という格好の教科書があります。


また、私たちの身近に「山田方谷研究会理事」をされている株式会社ジュエリー・タナカ常務取締役、田中里味様がいらっしゃいます。一度皆さんで勉強させていただきませんか?


ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。山田方谷先生の考えをしっかり学び、利益還元のできる会社創りを一緒にしましょうね。


今回のポイント


  1. 毎月正しい月次決算書を作り、それを直視して、危機感を共有しましょう

  2. 歴史に学び、足元を固め、誠意と度胸で、経営計画書を作りましょう

  3. 利益の出る盤石な体制を作り上げた後は利益還元をしましょう


最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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